使われていない技術を、社会へ届けたい

まず、岸田さんのこれまでのキャリアと、Omlucを始めた背景を教えてください。

もともとは、化学の研究者として材料開発に取り組んでいました。素材の特性を最適化するという文脈で、AIと出会ったんです。そこから技術への関心が広がり、エンジニアとしてWeb開発にも領域を広げていきました。そして2023年にOmlucを創業し、以来、生成AIの法人向け利活用支援を中心とした事業を行っています。

研究と開発、両方の現場に身を置くなかで感じていたのが、世の中には優れた技術や知見がたくさんある一方で、それらが必ずしも社会で活用されているわけではない、ということです。

どれほど新しい技術でも、実際の事業や生活のなかで使われなければ、社会への影響は生まれません。まだ十分に活用されていない技術や知見を、社会で使える形にしたい。そう思うようになったことが、Omlucの原点です。

技術と事業を行き来する「総合格闘技」

技術を開発するだけでなく、その先の「社会実装」を重視しているのですね。

そうですね。技術そのものを生み出すことにも、大きな価値があります。ただ、Omlucが特に向き合いたいのは、それを社会に届ける部分です。

そのためには、技術だけを理解していればよいわけではありません。相手の事業や業界を理解し、何が本当の課題なのかを見極め、現場で使い続けられる形にまで落とし込む必要があります。

技術とビジネスの両方を行き来しながら、前に進めていく。私たちはこの仕事を、ある意味「総合格闘技」だと捉えています。一つの得意技だけでは勝てない。だからこそ難しく、だからこそ面白い仕事だと思っています。

Omlucにとって、生成AIはどのような位置づけなのでしょうか?

生成AIは、いま社会にもっとも大きな変化をもたらしている技術の一つです。一方で、多くの企業が可能性を感じながらも、実際の業務で成果につながるところまで使いこなせているケースは、まだ多くありません。技術と現場の間に大きなギャップがある領域だからこそ、Omlucが向き合う意味があると考えています。

ただ、Omlucが目指しているのは、特定の技術領域にとどまることではありません。

時代によって、社会を大きく変える技術は移り変わります。その変化を捉え、新しい技術や、まだ十分に活用されていない知見を、社会で実際に使える形へ変えていく。生成AIは、いままさにその可能性をもっとも強く感じているテーマです。

こうした考えを、Omlucでは「領域を超えて時代を動かす。」というPurposeに込めています。

「領域を超える」という言葉には、どのような思いがありますか?

技術を社会で使える形にするためには、一つの専門領域だけで完結することは、ほとんどありません。

それは、技術の内側でも同じです。現実の課題は、一つの技術分野の枠にきれいに収まってはくれません。私自身、化学からIT、AIへと専門を広げてきましたが、異なる技術を掛け合わせることで初めて届く解決策があることを、その都度実感してきました。

そのうえで、技術を理解するだけでなく、事業や業界についても理解する。必要であれば、これまで経験してこなかった領域にも踏み込む。さまざまな知識や立場を横断して、初めて社会を動かすところまでたどり着けると思っています。

自分たちの領域を限定せず、技術と技術、そして技術と社会の間にあるものに向き合い続けたい。それが、Omlucの考える「領域を超える」ということです。

変化を眺めるのではなく、次の流れをつくる

Purposeを実現するために、Omlucが果たしていく役割を教えてください。

OmlucがMissionとして掲げているのは、「変化を読み、次の流れをつくる。」です。

社会で起きている変化に、ただ対応するだけでは、後追いになってしまいます。変化の兆しをいち早く捉え、その先に何が必要になるのかを考え、自分たちから新しい流れを生み出していく。変化を外から眺めるのではなく、つくる側にいたいんです。

そのために、技術や事業の可能性を探り、社会で実際に使われるところまで持っていく。それが、Omlucの役割だと考えています。

Omlucは、現在どのようなフェーズにいるのでしょうか?

関わる企業や業界は、少しずつ広がっています。ただ、「社会を動かした」と言えるほどの影響は、まだ生み出せていないと思っています。

本当に新しい流れをつくるためには、もっと大きな力が必要です。同じ方向を向きながら、それぞれの強みを持ち寄って挑戦できる仲間も必要になります。

すでに完成されたものを広げていくフェーズではなく、これから会社や事業を一緒につくり、社会への影響を大きくしていくフェーズ。いまのOmlucは、そういう段階にいると思っています。

目的から、自分の仕事をつくる

先ほど「変化をつくる側にいたい」という話がありました。その考え方は、Omlucの働き方にもつながっていますか?

つながっていると思います。

私たちが大切にしたいのは、職種や肩書き、いまできることだけで、自分の仕事を決めないことです。

まず、自分たちは何を実現したいのか、その先にどのような変化を起こしたいのかを考える。そこから逆算して、ときには知らない領域にも踏み込みながら、自分の仕事をつくっていく。そういう働き方を大切にしたいと思っています。

重要なのは、何を任されたかではなく、その仕事によって何を起こすかです。何をつくったかで終わらせず、その結果として、社会や相手にどのような変化を生み出せたか。そこまで考えられる人たちと働きたいです。

「つまらないことはやらない」という判断

事業を選ぶうえで、大切にしている判断軸はありますか?

一つは、短期的な利益だけを目的にしないことです。Omlucが向き合いたいのは、技術の可能性に挑み、それを社会で使える形にすること。そこから逆算して、事業を選んでいきたいと思っています。

もう一つは、一緒に働くメンバーや、お客さまをはじめとする関係者が、本当に面白いと思えるかどうかです。

率直に言えば、「つまらないことはやらない」。たとえ利益が出るとしても、関わる人たちが前向きになれない事業は、Omlucらしくないと思っています。

採用でも、そうした姿勢を重視していますか?

はい。面白がれるかどうかは、採用でも大切な観点です。そのうえで、「興味」と「継続」のバランスを大切にしています。

新しいものへの興味だけでは、仕事として最後までやり切ることは難しい。一方で、目の前のことをやり続けるだけでは、変化の速い時代に新しい価値を生み出すことはできません。

未知のものを面白がり、自分から手を動かして試してみること。そして、必要なところでは深く向き合い、形になるまで粘り強くやり切ること。その両方を併せ持つ人と、一緒に働きたいと思っています。

集中と探索を行き来できる組織へ

どのような組織をつくっていきたいですか?

状況に応じて、柔軟に形を変えられる組織にしたいです。

全員で一つの方向に集中して進む場面もあれば、それぞれが異なる領域を探索する場面もある。探索のなかから新しい可能性の種が見つかったら、再びみんなで集まり、次の挑戦につなげていく。集中と探索を行き来しながら進んでいくイメージです。

一人ひとりが自分の仕事を生き生きと語り、それぞれの発見を組織に持ち帰る。個人の関心や挑戦が、会社全体の可能性を広げていく。そんな環境をつくりたいと思っています。

一人ひとりの自由や裁量については、どのように考えていますか?

方法や役割を最初から固定しすぎず、一人ひとりが目的に応じて、自分の動き方を考えられるようにしたいと思っています。

ただ、自由に選べるということは、何をしてもよいということではありません。なぜその方法を選んだのかを、自分の言葉で語れること。そして、その判断から生まれる結果までを、自分の仕事として引き受けること。自由と責任は、セットだと考えています。

答えのない問いを、一緒に楽しめる人へ

最後に、Omlucに興味を持っている方へメッセージをお願いします。

技術の発展に伴って、これからも社会は大きく変化していきます。その変化を不安に感じるのではなく、面白がりながら、自ら次の流れをつくっていく。Omlucは、そのための挑戦を続ける会社です。

何を実現したいのか。そのために、どのような方法でそれを成し遂げるのか。そして、その先でどのような変化を起こすのか。

まだ答えのない問いに向き合い、領域を超えながら、技術や知見を社会で使える形にしていく。その挑戦を一緒に楽しめる方と、お会いできることを楽しみにしています。

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